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2015.09.15

ESDで学ぶ ~農と自然と人のつながり~ 世田谷区立等々力小学校

 ESDは「人のつながり」「教科・学年のつながり」「育みたい能力・態度のつながり」を重視しています。この3つの視点を大切にした環境教育に取り組んでいる小学校の事例をご紹介します。

概要

 ここ世田谷区立等々力小学校は、ESDの視点を取り入れた環境教育の一環として、『農と自然と人のつながり』をテーマとしたプロジェクトに取り組み、4年生の児童が講師を招いて授業を受けています。
講師は「人と自然の研究所」の三森典彰さん。そして、プログラムを支えるのは担任の先生方です。

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5月11日(晴天)

 土が入ったプラスチックケースを4年生児童が持ち寄り、賑やかに校庭に集まりました。この日から始まる、年3回のプログラムのテーマは“校庭でお米作り”。その初日ということで、土づくりと種もみまきに取り組んでいました。水をたっぷり含んだ土の触感がひんやり、ぺたぺた気持ちよくて、つい混ぜすぎたり、種もみを一つずつ丁寧に土に置いていく視線は真剣そのもの。

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はじまり

 プロジェクトは、「人と自然の研究所」から世田谷区教育委員会へ『世田谷区全体の学校ビオトープの利活用による特色ある学校づくり』を提案したことがはじまりでした。

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 単なるビオトープ作りが目的ではなく、「人と自然の研究所」が考える“教科、学年を横断的につかうビオトープを教材とした総合的な環境学習”に世田谷区教育委員会が賛同し、委託事業として4校のモデル校からプロジェクトがスタートし、現在は11校で進められています。等々力小学校もそのうちの1校で、事業開始2年目から参加しています。

子どもの気づき

 等々力小学校のビオトープには、池と田んぼがあります。最初に造成されたのは池でした。 三森さんの授業と調べ学習により子ども達は、生き物の好む環境、その環境を保つ手段や考え方、そして、生き物の住みやすい環境を整えたり、管理する意味を学びました。そういった学習の中で、自分たちの学校のビオトープにもっと沢山の生き物がくるようにするには、どんな環境が必要か、子ども達が考えた結果、アカネ属と呼ばれるトンボ(赤とんぼの仲間)のように、池のような安定した環境ではなく、変化の大きい田んぼのような環境が必要な生き物がいることに気づき、田んぼも造成することにしたのです。

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3つの輪プロジェクト

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元来、田んぼはお米を育む場所であると共に、その土地に暮らす多くの生き物を育むビオトープとしての役割を担ってきました。等々力小学校のプログラムには、協力農家の雁音農産開発有限会社の方が宮城県からゲストティーチャーとして参加しています。ゲストティーチャーによる“生き物との共存や環境との調和を目指したお米作り”の授業を通じて、田んぼが持続可能的に命をつなぐ場であることに子ども達は気づきます。

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 等々力小学校の子ども達は、種をまき、稲を育て、収穫して食すところまでの過程を、年間を通じて体験しながら、“農と自然”、“農と人”、“人と自然”のつながりについて、統合した内容を学習します。

学校の年間計画と環境学習

プログラムは学校の年間計画に取り入れられ、社会、理科、国語、総合学習の時間など複数の教科を横断的に使っています。通常は5年生の社会科で学ぶ稲作も、4年生の頃から生き物の生育・生息空間として理科や総合学習を通して総合的に学習します。また、学年を越えて連続的な学びが出来るように、学年末には4年生が3年生へと発表とともに活動を引き継ぎ、5年生になると池での活動、学習での気づきを受けて田んぼでの活動へ発展的に移行します。
稲という生き物を育てるには、年3回のプログラムとそれ以外の時間にも多くの手をかける必要があります。等々力小学校では、先生方の協力により、日々の手入れも子ども達が出来るように環境学習を日常化しており、子ども達は稲を自分の宝物を育てるように大切に、責任を持って収穫まで育てます。

持続可能なプログラム

等々力小学校では“農と自然と人のつながり”を、いわゆる知識伝達型ではなく、子ども達の気づきを通して学べるようなプログラムとして「人と自然の研究所」が提案し、それを先生方が学校教育に落とし込むというプロセスをとっています。結果的に「人と自然の研究所」は、所有のプログラムを、農業を学ぶという本来学校が進めている単元に関連付けながら進めることになります。

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また、持続的にプログラムを行えるようにするために、学校独自でも予算確保に努めたり、環境委員会や「おやじの会」との協力関係づくりもおこなっています。
このような学校の方針により、プログラムは8年も継続されています。今では子ども達の中で、4年生になればビオトープについて学習出来ることが楽しみとなり、その思いが先生の気持ちも高めているとのことです。

先生の思い

「物を粗末にする子どもが増えている。環境学習を通じて、物を大切にする子どもを育てたい」と、郷先生。「地域の環境や農を学ぶことで日本を知って欲しい」「達成感を味わい、達成する喜びを知ってもらいたい。」と高橋先生。「人との関係が希薄な時代、自己中心的な子どもが多い。でも、自己中心的ではビオトープも田んぼの管理も出来ない。プログラムの体験を通じて “愛情”を学んで欲し
い。」と、このプロジェクトの火付け役の渡部先生の想いは次々に言葉になります。

このように、身近な自然を材料に、子ども達は五感をつかった体験学習と調べ学習により、自然と生き物、そして自然の一部として自分がそこにつながっていることを学んでいくようです。身近な命のつながりに気づきながら学ぶそのプロセスで、農と自然と人のつながりを通して、命を見つめるまなざしをもちながら、子ども達が成長していくことがとても楽しみです。


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