登録年度 | 2002年度 |
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氏名 | 伊藤 和男 (イトウ カズオ) |
部門 | 市民 |
性別 | 男 |
年代 | 70代 |
専門分野 | 大気、水質、土壌・地下水、化学物質、環境教育、自然観察(植物、鳥、水生生物、昆虫、星空等)、森林保護、地球環境問題 |
主な活動地域 | 大阪府寝屋川市 |
主な経歴 | 東京工業大学大学院で、全国初の環境化学系の専攻(化学環境工学)において、第一線の教育を受けた。また博士論文では、水環境浄化の基礎研究を行った。現在、大阪府立高専、教授として、環境化学系の研究(食品中の化合物、酸性雨と土壌の研究)、講義、実験を担当している。 |
特記事項 | 理学博士(東京工業大学大学院、博士課程)国際学会で研究発表(酸性雨の森林土壌への影響の将来予測)をたびたび行っている。市民講座等の講師をたびたび行っている。 |
活動の紹介
兵庫県宝塚市大原野スサノオ神社社寺林の衰退調査
兵庫県宝塚市西谷地区の大原野スサノオ神社の社寺林を調査した。この社寺林は、宝塚市指定天然記念物である。
ヒノキ、アラカシ等の混成林である。全体的に健全木多いが、数本衰退が進み、ほぼ枯損状態のヒノキ(衰退指数4)が観察された。
兵庫県丹波市の社寺林の衰退と土壌化学性
兵庫県丹波市の兵主神社社寺林のスギの衰退調査を行った。この社寺林は、県の環境緑地保全地域および丹波市指定天然記念物に指定されている。スギに目立った衰退が認められた。また、スギ周辺土壌の化学分析を行った結果、土壌の酸性度が高く、土壌の栄養塩量も少なかった。スギの衰退と土壌の酸性度の間には、統計的に有意な相関が認められ、土壌の酸性度は高いほど、衰退が進んでいた。土壌の酸性度がスギの衰退の原因の1つと考えらえる。土壌の保全が、社寺林保護に重要であると考えらえる。(論文投稿)
奈良県天理市の社寺林の衰退と土壌化学性
奈良県、天理市の大和神社のスギ、ヒノキ、コナラ、クスノキの衰退状況を調査し、スギ、ヒノキに強い衰退が観察された。コナラ、クスノキには、弱い衰退が観察された。スギ、ヒノキ周辺の土壌の酸性度は高く(pHが低い)、コナラ、クスノキ周辺の土壌の酸性度は低かった(pHが高い)。土壌の酸性度が衰退に関係していることが示唆された。社寺林の保護には、土壌の健全性が重要であると考えられる。
(論文投稿)
滋賀県大津市の日吉大社社寺林(社叢)のイロハモミジ衰退と土壌化学性
滋賀県大津市の日吉大社社寺林のイロハモミジの衰退状況を調査した。その結果、イロハモミジに衰退が観察された。また、土壌の化学性を分析した結果、土壌化学性が劣化していることがわかった。土壌の化学性劣化が衰退の1つの原因かもしれない。
兵庫県天然記念物の越木岩神社ヒメユズリハ社寺林の 樹木衰退と土壌酸性化
兵庫県の天然記念物である越木岩神社ヒメユズリハ(Daphniphyllum teijsmannii)社寺林の樹木を行った。その結果、ヒメユズリハに衰退が認められた。また、樹木周辺の土壌の化学性を調査した結果、土壌が酸性化していることがわかった。
土壌の酸性化がヒメユズリハ衰退の原因の1つかもしれない。(論文発表)
関西地域の社寺林の衰退と土壌の劣化
社寺林は歴史的に、そして生物多用性の観点や都市部の貴重な緑地としても、とても価値が高い森林である。しかし、私たちの調査で、関西地域では、多くの社寺林に樹木衰退が確認された。そしてその原因の一つが、森林土壌の化学的な劣化であることが明らかとなってきた。対象療法として、土壌改良が必要である。また、土壌劣化の原因であると考えられている、酸性雨などの大気汚染対策、具体的には、石油、石炭使用の低減が重要である。それは、地球温暖化対策と重なっている。
関西地域での衰退した鎮守の森の回復活動
関西地域での衰退した鎮守の森の回復活動を行っている。今年度は、兵庫県宝塚市の鎮守の森の衰退したコジイについて回復活動を行っており、その成果を報告書としてまとめた。
関西地域での鎮守の森の衰退状況調査と森林土壌調査
鎮守の森は,自然度が高く、生物多様性の点から価値が高い。さらに歴史的,文化的価値も大きい。また,都市部の貴重な緑地として重要である。しかし、自然環境変化による、鎮守の森の樹木衰退の懸念がある。そこで、関西地域において、鎮守の森の樹木衰退を調査する必要性を強く感じ、ほぼ20年間調査を続けている。その結果、地域の多くの鎮守の森に樹木衰退が観察され、さらに、土壌の劣化も観測され、衰退原因の1つとなっていることがわかってきた。今年度は、大阪府交野市の鎮守の森のスギ、モミジの衰退について論文として報告した。
関西地域の鎮守の森の樹木衰退と土壌劣化についての広報活動
関西地域のいくつもの鎮守の森において、樹木衰退が観測されている。また、その土壌に劣化が見られている。樹木衰退を防ぐため、土壌改良が重要である。そのことを多くの市民に知ってもらうため、広報活動を行っている。論文等をいくつか執筆して、発表した。
鎮守の森(社寺林)の樹木衰退と土壌劣化(酸性化)および酸性土壌の改良
関西のいくつかの鎮守の森(社寺林)で、樹木の衰退が見られている。その原因の1つであると考えられている、土壌劣化(酸性化)について、調査を続けている。また、劣化した土壌を回復させるため、新しい土壌改良剤を用いてその効果を検証している。今年は、兵庫県宝塚市の鎮守の森について調査、実験を行い、効果があることが確認された。
兵庫県三田市の社寺林におけるツクバネガシの衰退と 土壌酸性化
兵庫県 三田市 の 社寺 林 に つい て 調査 した。 調査 し た 三田市 の 社寺林 は ひょう ご の 森 百 選 に選 ば れ てい る 貴重 な ツクバネガシ 林 であ り、 調査 の 結果 多 く の ツクバネガシ に 衰退 が 観測 さ れ た。 また そ の 土壌 は p H が 低 く 酸性化 の 傾向 が 認 め ら れ た 。
2019年度活動実績報告提出済
2019年度活動実績報告提出済
2018年度活動実績報告提出済
2018年度活動実績報告提出済
兵庫県丹波市兵主神社社寺林の生態調査
兵庫県丹波市兵主神社社寺林の衰退状況およびその土壌の化学分析調査を行った。樹木の衰退状況を把握し,衰退の進行を防ぐため,その原因を調査した。その結果,土壌の化学状態が劣化していることが分かった。土壌の改良が樹木の衰退を防ぐのに有効と思われる。
美多彌神社(大阪府堺市)のシリブカガシ林衰退と土壌化学性の劣化
美多彌神社のシリブカガシ林の大群落は,極めて希少価値が高く、大阪府の天然記念物、大阪みどりの百選に指定されている。そこで,大阪府堺市の美多彌神社のシリブカガシ林の衰退状況を調査し,衰退の要因として指摘されることのある,土壌化学性の劣化(酸性化)について調査を行った。