登録年度 | 2008年度 |
---|---|
氏名 | 戸田 都生男 (トダ ツキオ) |
部門 | 市民 |
性別 | 男 |
年代 | 40代 |
専門分野 | 地球温暖化、資源・エネルギー、消費生活・衣食住 |
主な活動地域 | 埼玉県さいたま市 |
主な経歴 | 1998年から奈良県吉野郡川上村,2002年から京都府美山町,2007年から神戸市高取山で建築系大学生と地域住民とによる林業と木造建築を実体験する森林環境教育(木匠塾)に参画し,間伐材を活用したベンチや休憩所等を制作。現在は建築系大学の准教授として教育・研究を行っている。 |
特記事項 | 木造建築分野の観点から,2003年から2012年まで森林環境教育プログラムを各助成機関へ申請し,計6機関から助成採択の実績がある。主な資格として,一級建築士,博士(学術)。専門は建築計画,環境心理学。【研修受講履歴】2011近畿,2009近畿 |
活動の紹介
埼玉県加須市古民家調査プロジェクト
関東平野の一角にある農場を運営する社団法人代表者から依頼を受け,農場のヤギ小屋や農機具小屋の改修等を筆者の属する建築系大学研究室の学生らとともに進めている。農場にある畑では,雑草をヤギが食べてヤギの糞を肥料として野菜を育てるなど循環型の取組みを建築専攻の学生らも学ぶ。設計・制作する小屋も学内の実習で使い終えた木材と現地の木製パレットや竹,単管パイプなどを活用してハイブリッドな構工法で移築改修するサスティナブルな実践的取組みである。
埼玉県加須市古民家調査プロジェクト
埼玉県加須市は2018年時点で約5,100件の空き家があり,増加傾向である。活動対象とした推定築200年の空き家の古民家は,関東平野が広がる田畑の中に位置し,伝統的農家の間取り,養蚕や馬と人が共に暮らした痕跡があった。持主の依頼を受け,筆者の属する建築系大学研究室の学生らとともに既存建物状況調査(インスペクション)を開始した。持主は古民家の物を大切に保有し,手持ちの道具で様々な物を素材として自作等して敷地や古民家を維持しており,古民家調査を通じて持続可能なライフスタイルを学ぶ機会とした。
長野木造山荘増改築プロジェクト
長野県飯山市の斑尾高原で太陽光発電等の普及を担うNPO法人の活動拠点の木造山荘の増改築を地域の工務店・製材所と筆者の主宰する建築系大学研究室とで連携して行った。学生たちと施主であるNPO代表者,工務店担当者らと意見交換して,主に地域産の木材やその端材を用いて大工職人に習った学生がDIY的な工夫も取り入れて設計・施工を実施した。このような木材を有効活用することで省資源化やCO2固定にもなり,持続可能な建築や地域とのつながりになることを共有した。
埼玉県戸田市空き家の蔵及び庭活用プロジェクト
戸田市内の空き家に関して,埼玉県建築士会青年メンバーとものつくり大学戸田研究室(木造建築・環境デザイン研究室)の学生で2020年8月に庭の植栽調査,10月に蔵の実測調査を行い,毎月1回以上の打合せを経て改修計画を進めた。木造蔵の小屋組みを活かした拠点と学内の木造実習廃材を移設して離れを構築し,開かれた暮らしの庭を地域資源として活用する。2021年度に概ね完成予定である。
川上村木匠塾オンラインレクチャー
奈良県吉野郡川上村で関西の建築系大学が行政とともに毎年実施している木造建築を林産地で体験する活動である。コロナ禍のため今期は実施活動ができなかったため,筆者が携わってきた経緯や経験談を話し,学生たちと意見交換をした。主に木造建築の背景である森林や林業のこと,木材が持続可能な素材で活用することでCO2ストックとなり地球温暖化対策に貢献することなどは,全て地域の人や学生同士など人とのつながりがあってこそ成立していることを共有した。
埼玉県戸田市空き家の蔵活用プロジェクト
2019年11月と12月に,埼玉県建築士会青年メンバーとものつくり大学戸田研究室(木造建築・環境デザイン研究室)の学生で,戸田市内にある空き家の蔵の実測調査を行い,図面化を進めた。個人の所有する木造蔵を地域資源としてとらえて改修して活用予定で,2017年から継続的に進めている企画が展開して現在に至る。今後も3年計画で継続予定である。
地域工務店への環境配慮的な木造住宅の講演
平成31年2月にさいたま家づくりネットワークの要請で,ものつくり大学戸田研究室(木造建築・環境デザイン研究室)から教員の戸田が地域工務店の経営者に向けた講演を行った。第4回次世代の会セミナーの「今後の多様な働き方」のテーマのもと,大学での地域工務店と連携したインターンシップの取組みや省エネルギーや省資源に配慮した木造住宅が普及している背景などを説明した。会場は埼玉県富士見市の地域工務店のゼロエネルギーハウスであるモデルハウスKINARIで,地域工務店の経営者や建築系の大学生との交流も図れた。
埼玉県戸田市上戸田地域交流センター「あいパル」木育ワークショップ
平成30年9月2日と12月1日に,埼玉県戸田市の上戸田地域交流センター「あいパル」からの要請で,ものつくり大学戸田研究室の学生と木育ワークショップを実施した。9月は「あいパル」3周年記念祭で多くの親子に参加頂き,積木広場や市内の空き家で調達した建具(障子)による射的ゲームや座繰り機(木の歯車)と鏡を活用したアニメーションを実施した。12月は地元のママフェスタの一環で木の廃材を活用したゴムピンボードや埼玉建築士会の協力も得てストローハウスを実施して様々な形を学べる遊びが好評であった。
IKEBUKURO LIVING LOOP 池袋リビングループ「杉騒動」
平成29年11月に池袋駅東口のグリーン大通りで,都市のパブリックスペースを市民のリビングとする趣旨のイベントに参画した。無印良品と日本全国スギダラケ倶楽部の要請により,ものつくり大学戸田研究室の学生とスギダラケ倶楽部埼玉支部のメンバーが主に地域産材による木工ワークショップ(鳥の鳴声:バードコールの制作)等を実施した。都市の大開発等に頼るのでなく,木製屋台や木の小物等の小さな設えによる工夫により,普段,人々が颯爽と通り抜ける場所をゆっくり歩いたり立ち止まったりする街の風景の形成を試みた。
埼玉県戸田市空き家活用プロジェクト
平成29年9月に,埼玉県建築士会と埼玉県戸田市まちづくり推進課の要請で,ものつくり大学戸田研究室(木造建築・環境デザイン研究室)の学生と建築士会の青年メンバーで戸田市内にある空き家とその地域周辺を調査し,空き家(共同住宅)を実測して図面化した。平成29年11月からは実測した空き家を「子育て支援住宅」として建築士会とまちづくり推進課と協力して具体的な計画を検討し,平成30年2月に図面や模型,スケッチ等で提案を行った。当プロジェクトは次年度も空き家バンク等の設立に向けて継続予定である。
Open MUJI 有楽町 日本の木でできた屋台コーナー
平成28年9月に無印良品有楽町リニューアル1周年記念の一環として,東京の有楽町丸の内仲通りで各地の地域産材による木製屋台が集まり,主に地域の特産品等のモノ・コトを楽しむイベントを実施した。日本全国スギダラケ倶楽部の要請により,ものつくり大学戸田研究室(木造建築・環境デザイン研究室)の3年生とスギダラケ倶楽部埼玉支部のメンバーとともに協力した。9月の3連休に温かみのある木の屋台が都市のストリートに集結し,人で賑わう縁日のような風景が形成された。
荒引工務店木質化賑わいプロジェクト
平成28年9月に,ものつくり大学戸田研究室(木造建築・環境デザイン研究室)の3年生とスギダラケ倶楽部埼玉支部のメンバーで埼玉県富士見市にある荒引工務店社屋の改修工事プロジェクト決起集会に協力した。新社屋は地域に開かれたサロンを併設した地域の木材を活用した木造建築である。決起集会では学生らが木工作業を行い,ゴミ箱やデスク等を制作して工務店,学生,地域の関係者の結束を深めた。当プロジェクトは平成29年度も具体的な工事に参画する等,継続予定である。
高取山を来訪する高齢者の森林保全の意識に関する研究
木を使ったものづくり活動による「木製ベンチ」が使用者の森林保全の意識・行動に及ぼす影響を考察するため高取山を来訪する高齢者を対象にアンケート調査等を行い,既存「樹脂製ベンチ」と比較した内容を平成27年11月に人間-生活環境系学会論文誌に発表した。主に1)登山会の人にとって「木製ベンチ」は座れることで「風景の魅力」が向上する効果が「樹脂製ベンチ」よりも高いと考えられた。2)修繕に協力する意欲は「木製ベンチ」の方が「樹脂製ベンチ」より高く「木製ベンチ」を維持管理することで省資源の効果等が期待された。
博多駅前周辺における木の空間の実態調査
平成27年4月~平成28年2月にかけて,麻生建築&デザイン専門学校の環境デザインゼミ有志学生らと福岡県建築士会・まちづくり活動支援センターの地域貢献活動として前年度に引き続き,「博多駅前周辺における木の空間の実態調査」を行った。成果として木の空間の所在を明らかにした「きになる木の空間MAP」を作成し,博多まちづくり推進協議会の協力を得て,ハカタリノベーションカフェで公開発表を行った。この成果を基にウッドデザイン賞2015(新・木づかい顕彰)を受賞した。